2024年5月10日、元WBAスーパー,IBF世界スーパーバンタム級統一王者のマーロン・タパレスが母国フィリピンでの興行に登場し復帰戦を行った。WBCアジア・コンチネンタル・スーパーバンタム級王座を懸けてナッタポン・ジャンケーウと試合を行い見事KO勝利し、井上尚弥に敗北して以来の復帰戦を見事勝利で飾った。
イベントのセミファイナルでは元WBA世界バンタム級暫定王者のレイマート・ガバリョが登場。WBO世界バンタム級王者・武居由樹への時期挑戦者と見られるガバリョはWBO世界バンタム級1位。調整試合に臨んだはずだったが、ボクシングファンを驚かせる衝撃の結末に。
健文トーレスに衝撃の1ラウンドKO負け。
健文トーレスとはいったい何者なのか。
健文トーレス
出典:TAPOLOGY
戦績:19戦14勝(10KO)5敗
生年月日 | 1988年 |
身長 | 168 |
リーチ | 不明 |
階級 | バンタム級 |
獲得タイトル | なし |
元世界ライトフライ級王者ヘルマン・トーレスと日本人の妻との間に生まれた次男が健文トーレス。コアなボクシングファンはヘルマン・トーレスという名を聞いて懐かしむ人もいるかもしれない。
そして、健文トーレスという名前だけであれば意外とライトなファン層も思い出すかもしれない。実は健文トーレスは強盗事件を起こし逮捕された過去があり、各メディアで報道されていたのだ。
元世界王者の父ヘルマンの血を引いている健文は10代のころは才能豊かで将来を嘱望されるボクサーだったようだ。しかし21歳の頃にタクシーの料金踏み倒しやコンビニ強盗で逮捕される。逮捕されただけでなく当然しっかり起訴され6年半の懲役を打たれ赤落ち。結果として8年以上のブランクを作る。
出所後、9年ぶりというとてつもないブランクを作りながら、強さを見せつる試合運びで勝利。
更生の道をたどるかと思われたところ30歳でまたもや逮捕。盗難車に乗ってひったくりをしたとして、窃盗、強盗容疑で起訴。またも長いブランクを作ることに。
2023年から再びボクシングを始め1勝2敗という戦績を重ねたところでガバリョの調整試合の相手として選ばれることになった。
健文トーレスが元世界暫定王者のレイマートガバリョを1ラウンドKO
WBO世界バンタム級1位のレイマート・ガバリョが健文トーレスを調整試合の相手に選んだ1戦。調整試合というと聞こえはいいが、今回の試合において健文トーレスは所謂かませ犬として選ばれた。
試合内容は、開始直後からガバリョが主導権を握ろうと強打を打ち込んで攻める。しかしトーレスが打ち終わりの一瞬を狙い左を打ち込みぐらつかせる。その後立て続けにダウンを奪い、最後は速射砲のようなラッシュを正確に上下に打ち分けて、ガバリョを完璧な形で倒して試合を終わらせた。
決してガバリョが油断していたようには見えなかった。トーレスの動きには躍動感があり、コンビネーションも速くて正確。多彩さも持ち合わせているように見えた。この試合に関してはガバリョを圧倒したと言っていい。
ガバリョはWBO世界ランキング1位で現王者の武居由樹へ挑戦すると思われていたが、思わぬ敗北を喫してしまった。
遅すぎた天才、健文トーレスの今後
9年ぶりにリングに上がった時の復帰戦や、今回のガバリョ戦を見る限り、健文トーレスは言われていた通りの天才だという印象をもった。懲役による長いブランクを作らなければ、本当に世界王者になっていたかもしれないと思わせる。
トータルで10年以上のブランクを作りながら、暫定とはいえ元世界王者を圧倒してKOしたのだ。
ガバリョを倒したことによって36歳にして世界ランキング入り。世界挑戦へキャリアを進めるには遅すぎるのか、まだ間に合うのか。現状のトーレスのパフォーマンスを見るかぎり、まだまだ面白い存在になれることは間違いない。
世界ランキング入りはトーレスにとって人生を立て直す最後のチャンスかもしれない。もう2度と道を誤らないことを願いたいところだ。
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