去る11月21日に行われた大橋ジム興行『フェニックスバトル125』はかなりの盛り上がりを見せる興行となった。
特に国内ライト級戦線の過熱っぷりが浮き彫りになったイベントだったのではないだろうか。世界にはまだまだ遠いかもしれないが激戦の国内ライト級戦線に注目したい。
保田克也VS宇津木秀
【WBOアジアパシフィック,OPBF東洋太平洋ライト級王座統一戦】
○OPBF王者 宇津木秀[6R TKO]WBOアジアパシフィック王者 保田克也●
宇津木がOPBF,WBOアジアパシフィック2団体統一王者となる。
WBOアジアパシフィックライト級王者の保田克也とOPBFライト級王者の宇津木秀がアジア2冠をかけて激突した一戦は予想以上の激闘に。お互いが倒し倒されダウンを奪い合った末、最後に宇津木が倒し切って死闘を制した。
保田が一瞬のスキを突くようなパンチでダウンを奪う技術を見せれば、宇津木は細かく手を出して隙を作り強打を入れて倒す。倒しあいの中でも両者の持ち味が光った一戦だった。
今永虎雅VS齊藤陽二
【アジア最強ライト級トーナメント決勝戦】
○今永虎雅[判定3-0]齊藤陽二●
セミファイナルで行われたアジア最強ライト級トーナメント決勝戦。今永が齊藤を何とか振り切って判定勝ち。
結果だけ見れば今永がほぼ完封した試合に見えるが、内容は非常にスリリングだった。前に出続けて強打を振るう齊藤を今永が何とかさばきながら的確なパンチで反撃していくといった内容。今永が齊藤のプレッシャーに押され被弾して効いた場面も何度か見受けられた。
今永の懐の深いボクシングと攻防両面での技術が光った。齊藤は流血もあって止められないよう前に出続けるしかなかったが、それがより一層齊藤の持ち味を引き出した感もある。器用に戦うボクサーファイター全盛の時代に、ファイター寄りに全振りしたスタイルは面白い。
群雄割拠の国内ライト級戦線から世界へ
ここ数年、国内ライト級戦線は群雄割拠の状態が続き面白いことになっている。アジア2冠を獲った宇津木がひとつ抜け出たが、保田もまだ復活してくるだろう。そして日本王者には三代大訓がいる。宇津木と三代で国内最強決定戦を制した方が世界戦へ進んでいくストーリーも面白い。因縁浅からぬ者同士なのでなおさらである。
ただ世界の壁は厚い。現在のライト級世界王者は以下の通り。
WBA | ガーボンタ・デイビス |
WBC | シャクール・スティーブンソン |
IBF | ワシル・ロマチェンコ |
WBO | デニス・ベリンチク |
他にもWBC暫定王者のウィリアム・セペダもいる。日本人からすると非常に世界との距離が遠く感じてしまうスペシャルなメンツとなっている。1年以上前だが、吉野修一郎はアジア最強を証明したうえで当時ランカーだったシャクールと戦ったが全く歯が立たなかった。
世界ランカーを見ても、キーショーン・デイビス、フロイド・スコフィールド、レイモンド・ムラタラ、ザウル・アブドゥラエフなど少し挙げただけでも強者ぞろいの層の厚さ。二階級制覇を狙うジョー・コルディナや、20歳にしてすでに非常に注目されているアブドラ・メイソンもいる。ライト級の世界戦線は激戦すぎる。
畑山隆則氏以来日本人のライト級世界王者は出ていない。宇津木や三代は今の世界王者やランカーたちとどのくらい渡り合えるだろうか。今すぐにでは無理でも、近い将来世界に手が届く姿を見てみたいし期待し続けたいと思う。そして今永虎雅や齊藤陽二は日本ライト級の希望である。
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