2024年7月15日に大阪で開催されるマッチルームボクシング主催の『プライズファイター』
中々見所を見出すのが難しい玄人好みのイベントとなっているが果たして盛り上がるのだろうか。
英国大手ボクシングプロモーションのマッチルームボクシングが主催するミドル級トーナメント『プライズファイター』が今月大阪の大和アリーナで開催される。優勝賞金はなんと100万ドル(現在のレートで約1億6千万円)というビッグイベントである。
しかし、そんなビッグイベントにも関わらず出場選手のメンツからしてかなり玄人好みと思われるイベントになっている模様。以前は3150FIGHTとの共催という話もあったが単独開催に。果たして興行として成功に終わるのだろうか。
プライズファイターとは?
そもそもプライズファイターとはどういったイベントなのか。
プライズファイターはマッチルームが主催するボクシングイベント。すべての試合が3分3ラウンド制で行われるワンデイトーナメントである。過去には、スーパーバンタム級からヘビー級までの間で、様々な階級で行われていた実績がある。何度も開催されていることを鑑みれば興行としては一定の盛り上がりを見せていたのだろう。
そして今回のプライズファイターは約10年ぶりの開催となり、ミドル級トーナメントが日本で開催される。
日本開催のプライズファイターはワンデイトーナメントではない?
今回、日本で行われるミドル級トーナメントはワンデイトーナメントではなく、準々決勝、準決勝、決勝が期間を分けてそれぞれ行われる形式となっている。
JBCは選手の安全のため、1日の複数試合参加は禁じている模様。そのため3大会に分けての開催となったようだ。ただでさえ見所を見出すことが難しい興業の盛り上がりを3大会も維持できるだろうか。また、準決勝、決勝になるにつれ、当然試合数が少なくなるため、興行全体で他にどんなカードが組み込まれるかは少し興味深い。
ミドル級トーナメントプライズファイターの見どころ
本イベントの見どころを見出すのは非常に難しい。強いて言えば興行の規模からすると想像以上の賞金ぐらいかと思えてしまうが、出場選手と対戦カードからも見所を探ってみる。
準々決勝の出場選手および対戦カード
国本陸vs可児栄喜
マーク・ディキンソンvs竹迫司登
アイニウェア・イリィアティvsキーロン・コンウェイ
アーロン・マッケンナvsジョバニー・エステラ
この中で見どころと言えば過去に日本タイトルOPBFタイトルを獲得している竹迫司登ぐらいだろうか。その他の選手を挙げるとすれば、キーロン・コンウェイはWBA15位にランクされておりどんな戦いぶりを見せるか少し気にはなる。対戦相手のアイニウェア・イリィアティも地域タイトルを獲得しており実力者ではある。
国本VS可児は前回の日本ミドル級タイトルマッチで明確に決着がついたカードでありダイレクトリマッチとしての惹きは弱い。
そして申し訳ないがそのほかの選手や対戦カードに、ボクシングファンへの訴求力があるかと問われればかなり疑問だ。準々決勝の対戦カードで見ごたえがありそうな注目試合を挙げるとすれば、イリィアティvsコンウェイぐらいだろう。
プライズファイター単独開催の経緯
今回のプライズファイターは当初の開催計画からは大きな計画変更をしている。
当初はJリーグのヴィッセル神戸の本拠地であるノエビアスタジアム神戸で開催される予定だったというが延期。さすがにキャパ3万人の会場は大きすぎると考えたのかもしれない。
次に3150FIGHTとの共同開催という話が上がったがこれも流れた。世界的なプロモーションであるマッチルーム側が日本で評判のあまり良くない3150FIGHTとのかかわりを避けたかとも推察されるが真相は不明。
そして今回の単独開催へ。場所は大阪府吹田市の大和大学内にある大和アリーナでの開催に落ち着いた。収容人は4800人とある。女子プロレス団体のスターダムが過去に興行を打っていたり、新日本プロレスも興行を予定しているなど、プロレスの開催実績はあるようだ。
興行の内容からして単独開催では厳しく思う。4800人の会場が埋まるかどうか。ノエビアスタジアムよりはかなり現実的なキャパではあるが、こうして経緯を振り返ってみると3150FIGHTとの共催が一番成功の目があったように思う。まだ開催前ではあるが。
楽天チケットとマッチルームは日本のボクシング人気を見誤っている?
現スーパーバンタム級4団体統一チャンピオンである井上尚弥を筆頭に現在日本のボクシング界は盛り上がりを見せている。現時点での軽量級のメインストリームはもはや日本であるといっても過言ではない。
ボクシングファンはかなり増えているが、ボクシングであればなんでもいいというわけではない。なかなか見所を見出せないプライズファイターは集客面でかなり厳しいイベントになると見込まれる。
プライズファイターには楽天チケットが巨額の資金を投入しており集客が上手くいかなくともファイトマネーの面では問題ないという。かなり選手ファーストなイベントであるのは間違いないが、興行としては認知に欠け注目度は低い。
ただ、最初から成功してスタイルを確立できるイベントなどはない。大きい階級で日本から強い選手を発掘したいという総合プロデューサーの深町氏の理念も素晴らしい。驚愕の賞金が目玉となり選手たちが必死にしのぎを削りあうトーナメントも日本のボクシングのエンターテイメント要素としては新しい方向性だ。
願わくば成功し、トライアンドエラーを繰り返しながらでもイベントとして発展を見せたら面白い存在になっていけると思う。ただファン層の発掘や採算によってはマッチルームは撤退していくだろう。
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