サウジアラビアで行われたノックアウトカオスのセミファイナル。デオンテイ・ワイルダーを破り再び浮上の目を見せたジョセフ・パーカーがWBO世界ヘビー級暫定王者張志磊に挑んだ一戦。
サウジアラビア リャド キングダムアリーナ
WBO世界ヘビー級暫定王座戦12回戦
張が2度目の防衛に失敗。パーカーが新王者となる。
サウスポーの張とオーソドックスのパーカーがジャブの差し合いをめぐって様子を見あう立ち上がり。張のプレッシャーが強くパーカーは張の右の強打をかなり警戒しながら、押し負けまいと立ち回る。しかし、3ラウンド、張の見事なノーモーションの左ストレートが炸裂し、パーカーがダウン。さらに警戒感が高まるかと思いきや、パーカーは4ラウンドに入ると強烈なカウンターを張に浴びせてぐらつかせるなど、張に流れを渡さない。
4ラウンドに予想外の反撃にあったためか、5ラウンド以降、張は警戒しプレッシャーを弱めた。パーカーはボディーワークを駆使したり、ボディブローで削って顔面につなげたりと工夫して立ち回っている。しかし、8ラウンドに張の反撃の中で左右のコンビネーションをもらいダウン。パーカーはダウンしたもののすぐに力強い反撃を見せる。
8ラウンドにダウンを喫してしまったパーカーだが9ラウンド以降明らかにギアを上げて攻勢をかける。鋭い踏み込みから早く力強いコンビネーションを張に当てていく。終盤に入り動きが緩慢になってきた張はガードも甘く被弾している。張の反撃もパーカーは見切ってさばきつつ攻撃の手は緩めない。終盤は完全にパーカーが主導権を握っていた。
判定は2-0でパーカーが勝利し新王者に。ダウンを2度奪った張は納得のいかない様子ではあったが、12ラウンドのスコアで判断するとドローかパーカーの勝利が妥当だと思う。
張の強さは本物だと思う。特にあの力強いノーモーションの左は特筆すべき張特有の武器だ。しかし、今回はパーカーの日だった。中盤の粘りから、終盤の力強く鋭い反撃で巻き返したのは見事だった。9ラウンド以降に見せたような試合運びをもっと早くやっていれば、もう少し楽に勝てたとも思うが、張の強打を警戒し、動きの鈍った終盤に勝負をかけたのかもしれない。
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