現代ボクシングの覇者オレクサンドル・ウシクの偉業

2024年5月18日、サウジアラビアで行われた世界ヘビー級4団体統一戦。WBAスーパー、WBC、IBF王者のオレクサンドル・ウシクとWBC王者のタイソン・フューリーが激突。ウシクが激闘を制し議論の余地のない最強の称号を手にした。

ボクシングにおける最重量級のヘビー級で史上初めて4本のベルトの統一に成功したウシク。ヘビー級での4団体統一王者になったということは、それは実質現代ボクシングの覇者と言っていい。ヘビー級にはそれほどの権威性と歴史の説得力がある。

ボクシングヘビー級史上初の世界4団体統一王者

実はヘビー級においては過去にもアンディスピューテッドチャンピオンと言われた王者はいた。マイク・タイソンやレノックス・ルイスはWBA,WBC,IBFの3団体を統一し比類なき王者と称された。しかし、WBO王座は獲得していない。

1988年に創設されたWBO王座の当時の価値はややマイナータイトルの域を出ていなかったかもしれない。タイソンが3団体統一王者だった時代はWBOが設立されて間もない頃。ルイスが3団体統一した頃も当時の実際の価値はよくわからない。

ただ、ルイスと同じ時代にWBO王座には強い王者として確実に評価できるビタリ・クリチコが君臨していた。ルイスは後にビタリ・クリチコと対戦し勝利しているが4団体の王座統一戦ではなかった。

時は経ち、現在ではWBA,WBC,IBF,WBOの4団体のベルトは横並びで全て同等の価値とされている。3本のベルトを集めることと、4本のベルトを集めること、どちらが困難かは言うまでもない。ウシクは4本の価値あるベルトを全て手中に収め絶対的な王者であることを証明した史上初のボクサーなのである。

ウシクがパウンドフォーパウンド1位に

4団体統一戦後、ウシクが『ESPN』や『The Ring』のパウンドフォーパウンドランキングで1位に選出されている。テレンス・クロフォードや井上尚弥を抜き去ってのランキング1位を獲得。

これはもう納得せざるを得ない。クロフォードや井上もとてつもないことを成し遂げているが、ウシクは成し遂げてきたことの質が違いすぎる。

WBSS優勝によるクルーザー級での4団体統一。そしてヘビー級での4団体統一。クロフォードと井上も2階級での4団体統一を成し遂げているが、重量級における2階級での4団体統一は質の違いを感じさせる。特に選手が大型化しているヘビー級において、クルーザー級から上げたウシクが身長2メートル超えのフューリーを撃破したインパクトはとてつもない。

ウシクは世界タイトルを懸けて戦うようになってからは、母国ウクライナで試合をしていない。毎回、敵地または第3国で試合をして勝ち続けてきた。これがどれほど困難な道だったかは想像に難くない。

プロボクサーとしての評価には関係ないかもしれないがロンドン五輪の金メダリストでもある。

 

母国がロシアによる侵略戦争に見舞われる中、世界を驚かせる偉業を成し遂げたウシクに最大の賛辞を贈りたい。そしてウクライナに栄光あれ。

 

 

 

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